2021/1 Now What? -今度は何?-

by Hachi Yu (ハチ・ユ)

2020年に別れを告げ、私達はうわべだけの脆く築かれてきたシステムや、見えない原子達が世界をどのように変革していくかをはっきりとこの目で観る機会を得ました。私達はこの地球・人類至上最も変化のある時代を経験しています。山火事、洪水、社会的・人種的不正の数々から世界的パンデミックまで…私達の行動や人生の相関関係の行く末を傍観しています。

このようなチャレンジングな年を経験すると、元来の”新年”の慣習を先入観なくやり直すことが素晴らしいと思えるかもしれません。新しく何かを始めるのに適していると感じる傍らで、冒険することはやめようと自分自身に過度なプレッシャーを課して、試練から学びを得る機会を失ってしまうことはリスクだとも感じるかもしれません。そうこうしている内にあっという間に時計の針は2021年を指したので、決心して、計画して、取りかかって、to doリストを作って…2020年から早く離れたくてたまらないし、ワクチンを打って喜びに満ちた”通常”の世界に戻れるよう前を見ています。

この2020年を飛行時のことの様に捉えて見て下さい。旅の始まりは期待で溢れているけれど、長い旅の最中は乱気流があったり、不快感があったり、席も狭いし、機内食だって…想像できますよね。パイロットがついに乗客に着陸の準備に入ったことをアナウンスすると、あなたはもう家に着いたかの様な気持ちになって、起きて座席テーブルをしまって、電子機器の使用をやめて、靴を履いて…まだ家にたどり着いてもいないけど、着陸するための下降・低速する準備は始まっています。安全に着陸するためには、長くてはっきりと見通せる滑走路が必要です、だから徐行するための充分な場所があるのです。様々な道のりが私達が安全にゲートにたどり着くために必要なのです。まさにいまこの苦しい道のりから降りるための寛大な滑走路を、私達は作るべきです。この長い旅路において、速度を落とすということが恐らく最も難しいことでもあります。

ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』の様に、バガヴァット・ギータ、オデュッセイア、スターウォーズそして無数の伝説に象徴されていることは、個人・集団そして宇宙の探究です。英雄が演じる役割は、成長、消滅、そして救済の宇宙的な循環です。変わらない真実と自らを調和する神話を理解すること、それがOMです。

「私は全ての生き物の心の中にあるアートマンである、私はそれらの始まりであり、中間であり、終わりでもある」

(Bhagavad Gita 1020番より)

AUM(OM)は意識の状態について言及しています。(Jivamukti Yoga – Practices for liberating body and soul. By Sharon Gannon and David Life P34参照)宇宙の循環は、未知なる静寂の中で現れ、そして再び現れなくなって動き続けます。

マットの上での実践にも主人公の旅路が反映されます。それぞれのアサナにはA-始まりがあり、U-過程があり、M-終わりがあります。どこかへ移動する時、意識を留めることが難しいですか?何かが起こった時、次に何が起こるだろうとか、過去に起こったことを考えてしまいますか?OMはアサナの実践において、次のポーズへと繋ぐ呼吸の様なものです。私達はこの循環を経験するために、次から次へとヴィンヤサの形式でゆったりと動きます。全ての命あるものの循環と同じ様に、宇宙にも再生と破壊の循環があります。

「一粒の砂の中に世界を観る」

(『無垢の予兆』-ウィリアム・ブレイクより)

OMの音(A/U/M/静寂)…その宇宙的な響きはŚabda Brahman(サブダ・ブラフマン: 超越的な音)として知られています。私達が”しない”ということを受け入れた時のみ、シャヴァーサナの恩恵を受け取ることができます。ヨギーは悟りを”する”ことができないことを知っています。受け入れるために、道のりを経ていくことが私達のするべき実践です。

私達は家に帰る旅の途中にいます。ページをめくるのと同じくらい熱心に、暗い宇宙飛行から帰る旅に出ています。私達は気づきの途中にいます、終わりから始まったり、過程で終わったり…私達の旅の運命にも同様に、始まり、過程、終わり全てが含まれます。Pranava(プラーナヴァ:聖音オーム)は、創造、実存、変化の認識の過程全てに存在する神聖なマントラです。種から糸で紡げる様になるまで、土地を休ませてあげましょう。私達は知性、忍耐強さ、思いやりを育むことができます。新年を迎えることで、これまで存在していた瞬間瞬間に神を見い出すことを認識するかもしれません。辛抱強く、優しく、寛大でありましょう。前に進むためのシンプルな解決方法を与えてくれるこの新しい年を受け入れていきましょう。この長い滑走路を受け入れましょう。私達が丁寧に”hOMe”の道を帰れるよう時間をかけて。喜びで溢れた新年になりますように。

Translation by Uzu Yuri Ogawa

(訳: Yuri)