NY Report by Kanae

  • Kanae Profile

    高校卒業後に単身渡米し、在NY歴約20年。
    ファッション工科大学で美術修復と金箔工 芸を学ぶ。
    ヨガとの最初の出会いは18歳の時、身体を壊し地元大阪の団地の一室でやっていた教室に行ってみたのがきっかけ。
    当時はヨガが今ほど知られておらず、健康体操 程度の認識だった。
    その直後NYに移りヨガとは無縁の年月を過ごす。
    アメリカ同時多発テロの時に大学の体育でヨガを専攻していた事をきっかけにヨガのもたらす心身への影響をさらに意識するようになり、シバナンダやインテグラルで断続的にプラクティス するようになる。
    その後日本に数年帰り、マクロビオティックのカフェで働きながら大阪のスピリットヨガで200時間のティーチャートレーニングを受ける。
    2011年にNYに戻り、昔から知ってはいたものの何故か避けていたジバムクティヨガに今度こそどうしても行かなくてはならない気がして試しにクラスを受けてみたところ、その社会活動の 一環としてのヨガや、生きとし生けるものへの思いやりと献身に重きを置いた思想に、 自分がずっと内に秘めていたものとぴったり重なる感覚を覚え、2013年に正式指導者に なるトレーニングを受ける。
    現在は、金箔修復の仕事と並行して、日々様々な先生から 教えを受けて学びを深めながら、与えてもらっている恩恵をシェアすることにより気づ きと幸福を還元したいと思い、NY市内でヨガを教えている。


    初めまして、ニューヨークで金箔美術に携わりながらYogiとして暮らしているKanaeです。

    この度にわかNYヨガレポートをさせていただくことになりました。
    諸々の都合で不定期にはなってしまいますが、よろしくお願いします ^ ^

    初回は、この6月にGita哲学の先生、Yogesvara(Joshua Greene)のお誘いによりNY郊外のOld WestburyであったHeart of Yogaリトリートにスタッフとして参加させていただいた経験をお話します。
    Old WestburyはNYのロングアイランド島をマンハッタンから電車で奥に40分ほど 行ったところにある郊外の美しい街です。
    Yogesvaraはイスコンの創設者であるSwami Prabhupadaの直弟子として13年インドやヨー ロッパのアシュラムで過ごした後、1982年に地元NYに戻り、多くの本の執筆や映画製作、 公演を手がけながら、大学の講師も務めたギーター哲学の学者で、膨大な知識の持ち主である と共に、深い慈悲に満ち溢れたすばらしい先生です。
    その彼がこの数年主催しているリトリー トには毎回様々なゲストティーチャーが呼ばれるのですが、今年はイスコンの最重要人物の一人であるRadanath Swami、Jivamukti Yoga創設者の一人であるSharon Gannon、同じく Jivamukti yogaで大人気の先生であり、もう一人の創設者David Lifeの甥にあたるJules Fabre、Kirtan singerのGaura Vaniなどなど、錚々たる顔ぶれの先生方が招かれました。

    私はスタッフとして受付からショップの管理、食事のセットアップと後片付け等、始終バタバ タ動いていたのですが、合間を縫って幾つかのプログラムに参加することができました。
    歴史あるガーデンを植物博士のようなスタッフに案内してもらって散策したり、シンギングボール ヒーリングセッションに参加したり、Julesのクラスを受けたり、等々。
    Julesは、「Jivamukti schoolじゃなくて初めての面々の中で教えるっていいね~。ジョークがちゃんとウケる!」と 喜んでいました。(笑)そして、「Kanaeなんてさっきから一度もクスッともしてないからな」 と... ^ ^; アメリカ人のようにジェスチャー激しくないだけで密かにウケてるんですけどね... それを聞いたSharon先生は「私は何千回同じジョークを聞いてもあなたは面白いと思うわよ」 と本気なのか皮肉なのかわからないコメントを入れていました。(笑)
    そうしていくつか参加することができた中でもやはり、Radanath Swamiのワークショッ プ、”Deepening your Devotion/献身を深める”が印象に残っています。


    Radanath Swamiは Jivamukti yogaのティーチャートレーニングや年末のイベントなどこれまでも何度かお目にか かってお話を伺う機会があったのですが、いつも本当に慈悲に満ち溢れたお顔で穏やかにお話 なさいます。
    この日、Swamiはご自身が修行中のある激寒の朝、身を清めるため川に入ったのはいいのだけど着替えが川に落ちて流れそうになってしまい、なんとか救い出したもののびしょ 濡れで、外気で凍りそうな衣を着て帰らなければならなくなった経験を話してくれました。
    「とっても、とっても寒かった...」と細い声で言った後の、カッカッカッ...という高笑いが新 鮮でした(笑)
    そしてまた、「地球上にこれだけの生物がいる中で、人間として生まれたことはとても幸運なことで、そしてその中でもさらに、聖人と呼ばれる悟りを開いた人に出会う機会が持てるというのは本当に稀なことなのです。
    そして、彼ら(聖人)は、私たちの気づかないうちに私たちの中に種を植え付けてくれているのです。
    そして私たちはその種を育てなければならないので す」とお話されました。
    私はこの数年、聖人を含め本当に尊敬できる素晴らしい数人の先生がたに出会い導いていただ く機会に恵まれているのですが、彼らに共通して思うことは、本当に凄い先生というのは決して偉そうにしたり強制的な教えをばらまくことはなく、でもいつの間にか心の深い場所に灯火を灯してくれていて、救いが必要な時、行動を起こすことが必要な時に本当に自然な形で癒しと勇気を与えてくれるんだということを実感していたので、Swamiのお話はとてもしっくりきました。
    実はこのリトリート中も、スタッフの数が当初予定していた半分の四人しか実際来られず、始終走り回っていた私は途中なんでこんなにきついんだ...と思ってしまったことがあったので す。
    でもそのバタバタ動いている間も何度もSwamiと目があって会釈してくださってたのですが、最後の日、彼の新しく出た本に、せっかく目の前におられるのだからサインをもらおうと 列に並ぶと、Swamiはサインをした後その本を私に渡さずにじっと私の目の奥を見つめて「あなたがやってきたこと、やってくれている全てのこと、本当にありがとう」と言ってくださいました。
    まるで私の気持ちを見透かしたかのように。そして、多分前日私が個人的に質問した ことへの含みも入れてくれたのだとすぐに気付きました。
    その瞬間、全ての疲れが消えて、ものすごい暖かい気持ちに包まれました。
    そして、リトリートから帰った翌週、Yogesvaraが反省会と称してビーガンレストランの Peacefood cafeでスタッフにご馳走してくれ、その時、リトリート中彼と一緒に撮った写真を わざわざプリントアウトして額縁型のカードに入れたものをプレゼントしてくれました。
    本当に多忙な人なのにその時間を割いて周りの人を労うことを忘れない、こういう素晴らしい先生 方と接して「種を植える、そして人を育てる」ということはこういうことなんだなぁと気付かされます。
    本当にありがたいことです。
    こうして与えてもらっている気づきと学びを日々持ち続けて人と接していきたいと改めて思います。